音盤日誌@金沢(仮)

レコード(LP/CD/DVD)を聴いて思ったことを書く日誌。

菊地雅章+ギル・エヴァンス・オーケストラ

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ギル・エヴァンスではこれが一番好きだな。いつ聴いてもある種の高みへ誘い出してくれる音。しかし、これを本当にG・エヴァンスの作品としていいものか、菊地雅章氏のアルバムとして捉えたほうがよいのか。そのあたりに確信が持てないので「ギル・エヴァンスの」最高傑作と言い切るには少々の躊躇がある。整然としたこの音の様子を「日本人・菊地雅章の世界」ということにすれば手っ取り早いが、ま、考えてもキリがないので。

CHARLIE HADEN / NOCTURNE

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本作はキューバン・ボレロなる音楽を素材にしているらしい。何でもジャズ目線で解釈出来ると考えがちなジャズ音楽家の悪い癖が出ていなければ良いのだが、と思いながら聴くうちに心がジャズから少し離れた。この気持のいいベースは誰だ?、とクレジットを確認したらC・ヘイデンだった。ヘイデンのアルバムだから当たり前。ついうっかりキューバ人のベーシストだろうと思い込んだ私は馬鹿だが、本作が成功している証だと思った。

LARA IACOVINI / RIGHT TOGETHER

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ララ・イアコヴィーニなる歌手のスティーヴ・スワロー大フィーチャー盤。といっても、この歌手もバンドもスタッフも別にスワロー御大のお出ましがなくても同じコンセプトでそれなりの作品に仕上げたのではないかという力量と雰囲気を感じさせる良好盤だ。L・イアコヴィーニの歌声は好みが分かれるかもしれない。私にはちょっと線が細いかな?とも思われたが許容範囲外でもない。キュートな声が好きな向きならドンピシャかも。

THE TONY RICE UNIT / MAR WEST (その2)

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トニー・ライスブルーグラスの人だが、本人は自らの音楽を”スペース・グラス“と称していたとか。スペーシー(宇宙的)には聴こえないがなんとなくニュアンスは分かる。ブルーグラスにジャズの要素を取り入れたということらしいのだが、そういう話を聞くとジャズが万能な音楽だと思っているジャズ人は解釈を誤りがちだ。はたしてそうなのか、ときには慎重でありたい。T・ライスが別にジャズに媚を売っていないことは明白。

ANTONIO CARLOS JOBIM / THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS

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「12月8日」という日は一般的には真珠湾攻撃の日かジョン・レノンが死んだ日ということになっている。そして私は今日まで知らなかったがアントニオ・カルロス・ジョビンの命日でもあるそうな。ジョビンでただ一枚だけを選ぶのはとても無理だが最終的には本作になるかも。このイージー・リスニングなアレンジは正直な感覚で賛否分かれると思うが、ジョビン本人が爪弾く単音ピアノの旋律からはそこを補って余りあるものが伝わる。

THE TONY RICE UNIT / MAR WEST

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ブルーグラスは良く知らないがトニー・ライスの名前は以前から知っている。昔、FM番組をエアチェックしたカセットテープを繰り返し聴いたからだ。無邪気なもので本作収録曲の半数が録音されたに過ぎないそのカセットで当時は満足していたが今は物欲が違う。ふと思い出してCDを探したところ、世界初CD化とうたわれた限定リリースはとっくに品切れ、中古盤で運良く適価で見つかった一枚をいま聴いている。これはやっぱり傑作。

BILL EVANS / THE SOLO SESSIONS VOL.2 (もしくはコンプBOX)

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ビル・エヴァンスは「Santa Claus Is Coming To Town」をソロ・ピアノ・バージョンでも残している。Riverside期の録音だが、いわゆるオリジナル・アルバムに収録された形では出ていないので盲点か。本盤はB・エヴァンスの死後だいぶ経ってから世に出た。<Vol. 1>と併せてもRiverside期のソロ・パフォーマンスの全ては網羅されずちょっと中途半端だ。いっそのこと<The Complete Riverside Recordings>(*写真下)を買うほうが手っ取り早い。CD12枚組。一般論でいけばありがた迷惑な側面も少なくないBOX物であるがB・エヴァンスは駄作が無い人なので問題なし、と思うが。