ジャズ系
リベレーション・ミュージック・オーケストラの音楽には哀愁あふれたダサい要素が満載だ。少なくともオシャレではない。ジャズを聴く動機の半分が他と一線を画すための自己満足であるとするなら、大衆文化たる日本の演歌にも(ときには軍歌調にですら)通ず…
緊張感あるね。ジャケットの顔もちょっと怖いです。ビル・エバンスの怖さというのは天才なのに自分が天才だとあまり分かっていない人の怖さだと思う。悪気はなくても真正面に立たれたら凡人の側はたぶん少し怖いよね。その点、キース・ジャレットあたりは自…
ギル・エヴァンスとリー・コニッツのデュオ盤<Heroes>の続編。ウチにあるのは正続2枚をカップリングしたCDセット。内容的には同日の実況録音を2枚に分けた意図は特に無いと思われる。スティーヴ・レイシーとの<Paris Blues>では夜中に聴くべき一枚だ…
Come Get It、It Gets Better、What It Is、That's Right、That's What Happened。本作及び次作<Decoy>に収録されているこれらの曲名が、どれがどれだか未だに憶えられない。“曲名なんて所詮は無意味”、マイルスのたぶんそういうところは嫌いではないが、…
「玉石混淆。玉を拾い集めるような聴き方しか出来ない」・・この時期のキース・ジャレットを簡潔に評してこう書いた人がいた。言い得て妙、実に的を射ている。筆者の趣旨はどちらかというと否定的ニュアンスだったと思うが、なるほどそんな聴き方もあるのか…
生まれ1936年だというからカーラ・ブレイは御年80才。不謹慎ではあるが「次の人」を探そうか、などと考えることもある。そんな流れのひとつでメアリー・ハルヴォーソンというギタリストを知った。マリア・シュナイダーがギル・エヴァンスの後継者ならM・ハ…
トーマス・クラウゼンなる鍵盤奏者とスティーヴ・スワローのデュオ盤。新録音が世に出る枚数からしてスワロー氏との共演を欲する演奏家が数多く存在し、スワロー氏の方でも彼らをあまり拒まないと見える。結構なことだが、そういう演奏家達にたぶん共通する…
目玉は2曲目の表題曲「There Comes A Time」だが16分15秒と長い。薄利多売社会で皆忙しい現代人には少し無理があるかも。しかしこのアルバムの当時(1976年)にも忙しい人はいたはずだ。そこで気が付く。当時はLPの時代だ。LPならこの長尺曲の後に1分半…
某コーヒー店にて。WALKMANで本作ギル・エヴァンスを(記事にする前にもう一度)聴いておこうと思って席に着いたんだが、店内BGMでいい感じのピアノ・トリオが鳴り出したので不粋なイヤホンなどは仕舞うことにした。誰のピアノかは判らず、曲名も思い出せな…
本盤のラスト曲「My Funny Valentine」は映画でもエンディングに使われ、それはそれは効果的だった。良い映画だったが大傑作でもない、などと思っていたところ、最後のこの曲で感情が急上昇、結局はこの映画に名残惜しいほどの好印象が残った。こういう成り…
チック・コリアとゲイリー・バートン。この著名デュオのことは昔から知ってるがアルバム一枚ちゃんと聴いたことが最近までなかった。そのシンプルな理由はC・コリアを好きになったことがないからだ。ピアノ奏者としてより作曲者として人々に愛されているよ…
従来盤CDではなくBOXセット<Crystal Silence: The ECM Recordings 1972–79>の内のDisc3と4。従来盤CDは元々LP2枚組だったところをCD化に際してディスク1枚に収めるために数曲がカットされたが、このBOXに収録されるにあたりオリジナルな2…
Montreal Tapesシリーズのジョーヘンをまた聴いた。トリオ3人が3人とも異常にカッコいい。一曲々々が長尺なのだけど、長くなるにはなるだけの理由があるのだよ、ってことがよく分かる演奏。本シリーズ全体の共通項で長尺テイクでも退屈しないのは生で実演…
あのチャーリー・ヘイデン”The Montreal Tapes”と同じトリオのライヴ盤。再会セッションかと思ったらこっちが2年も早い録音。そして曲目がカブらない。おぉ!マスト・アイテム!と思ったときにはすでに廃盤状態で見つからず、というのがいつのことだったか…
リベレーション・ミュージック・オーケストラの音楽というのはなんとなくライヴ向きではないと勝手に思っていたんだが、チャーリー・ヘイデンのMontreal Tapesシリーズを買い揃える目的でとりあえず買った本作で認識が変わった。代表曲を並べてそこにライヴ…
ギル・エヴァンスではこれが一番好きだな。いつ聴いてもある種の高みへ誘い出してくれる音。しかし、これを本当にG・エヴァンスの作品としていいものか、菊地雅章氏のアルバムとして捉えたほうがよいのか。そのあたりに確信が持てないので「ギル・エヴァン…
本作はキューバン・ボレロなる音楽を素材にしているらしい。何でもジャズ目線で解釈出来ると考えがちなジャズ音楽家の悪い癖が出ていなければ良いのだが、と思いながら聴くうちに心がジャズから少し離れた。この気持のいいベースは誰だ?、とクレジットを確…
ララ・イアコヴィーニなる歌手のスティーヴ・スワロー大フィーチャー盤。といっても、この歌手もバンドもスタッフも別にスワロー御大のお出ましがなくても同じコンセプトでそれなりの作品に仕上げたのではないかという力量と雰囲気を感じさせる良好盤だ。L…
ビル・エヴァンスは「Santa Claus Is Coming To Town」をソロ・ピアノ・バージョンでも残している。Riverside期の録音だが、いわゆるオリジナル・アルバムに収録された形では出ていないので盲点か。本盤はB・エヴァンスの死後だいぶ経ってから世に出た。<V…
「サンタが街にやってくる」一曲のためにクリスマス盤の趣あり、と思い出した機会を逃さず久しぶりに聴く。RiversideからVerveに移籍した後のアルバムだが、まだポール・モチアンがいることが心強い。何の責任も負わず単にCDを聴くだけの人間が何をいった…
クリスマスが近い。この時節、大都会に居た頃は街にクリスマス曲があふれ過ぎて風情も何もなかった。ここ金沢はそこまで酷くもないと思うが、北陸新幹線開業以降の人の多さを避けて市街にあまり出なくなった金沢市民(=私)は案外に街中の実態をよく知らな…
年末を意識する時節になって来た。今年のベスト・アルバムは何だったか?。まぁそれはそれとして、本作は2012年の私的ベスト盤だったはずだ。スティーヴ・キューンがスティーブ・スワローを起用してピアノ・トリオの新作をしかもECMから出した。興奮。こ…
ゲスト扱いのスター・プレイヤーを迎えてのライヴ盤ということでギル・エヴァンスとしては異色盤ということになる。というわけでG・エヴァンス入門者向けとはいえない。むしろローランド・カークの愛好者で未聴ならぜひ聴いて欲しい一枚だ。R・カークのま…
1983年録音ライヴ盤。同時期の決定盤に<At Sweet Basil>があるが、それより優先して聴くべき要素までは見当たらなくとも意外に肉薄の場面あり。メンバーは<At Sweet~>と一人も重複しない。これは何を意味するか。晩年のギル・オーケストラの音はメンバ…
1961年録音、カーネギー・ホール盤の後編。前後編を併せた完全版CDは持っていないので単独の従来盤LPで聴く。前編でもそうなんだが本作のウリであるはずのギル・オーケストラとの共演テイクよりもマイルス・バンド単独のテイクのほうが明らかに聴きどこ…
チャーリー・ヘイデン“Montreal Tapesシリーズ”のひとつ。いいなぁこれ。土曜日の午後にぴったりきたのはジャズ・フェスのライヴ録音だからじゃないかな。午後というよりもう夕方だが、まだしばらくは陽が高い。雨が降ったり止んだりだが今はうまい具合に晴…
カットされてたテナー・ソロを復活させましたとか、実はこんな曲もやってましたとか、実際の演奏順に並べ替えましたとか、その手の話がマイルスの2ndクインテットにもチラホラあるんだが、若い時ならいざ知らず歳くってくるとだんだん整理・理解するのが…
買おうと思って買ったアルバムではない。キャロル・ケイのベース目当てで入手したCD<Reelin' with The Feelin'>にいわゆる“ツー・イン・ワン“で本作が付いてきた。こういう音楽家の意向を反映していない抱き合わせ商法は嫌いだが単品CDの在庫が無かっ…
“なるほど、その手があったか!”。カーラ・ブレイがクリスマス・アルバムを出すと知ったときの第一印象だ。一瞬の意表を突かれたが言われてみれば最高の適役。そして予想以上に上出来のアルバムが届いた。しかしさすがにクリスマス物を1年中そう何度も聴く…
ステファン・グラッペリとの共演盤。当時バートン・バンドに加入して間もなく、力量に不足があったというギタリストは不在。ギタリスト氏には不幸だったが、そのおかげでスッキリとしたカルテット編成となったのは本作にとっては良かった。ゲストであり同時…