音盤日誌@金沢(仮)

レコード(LP/CD/DVD)を聴いて思ったことを書く日誌。

NARA LEAO / MEUS SONHOS DOURADOS (あこがれ)

既存の有名曲がボサノバや他のラテン調にリ・アレンジされて演奏されることがある。けっこうある。頻繁にある。あー、もう止めてくれ。一定数の成功例はある。最初にやり始めた人は偉いということもある。けれど多くは無意味な行為だ。さて、では本作はどう…

MILES DAVIS / MY FUNNY VALENTINE: IN CONCERT

カットされてたテナー・ソロを復活させましたとか、実はこんな曲もやってましたとか、実際の演奏順に並べ替えましたとか、その手の話がマイルスの2ndクインテットにもチラホラあるんだが、若い時ならいざ知らず歳くってくるとだんだん整理・理解するのが…

CHARLES KYNARD / WA-TU-WA-ZUI (BEAUTIFUL PEOPLE)

買おうと思って買ったアルバムではない。キャロル・ケイのベース目当てで入手したCD<Reelin' with The Feelin'>にいわゆる“ツー・イン・ワン“で本作が付いてきた。こういう音楽家の意向を反映していない抱き合わせ商法は嫌いだが単品CDの在庫が無かっ…

CARLA BLEY / CARLA'S CHRISTMAS CAROLS: with Steve Swallow and The Partyka Brass Quintet

“なるほど、その手があったか!”。カーラ・ブレイがクリスマス・アルバムを出すと知ったときの第一印象だ。一瞬の意表を突かれたが言われてみれば最高の適役。そして予想以上に上出来のアルバムが届いた。しかしさすがにクリスマス物を1年中そう何度も聴く…

GARY BURTON & STEPHANE GRAPPELI / PARIS ENCOUNTER

ステファン・グラッペリとの共演盤。当時バートン・バンドに加入して間もなく、力量に不足があったというギタリストは不在。ギタリスト氏には不幸だったが、そのおかげでスッキリとしたカルテット編成となったのは本作にとっては良かった。ゲストであり同時…

LED ZEPPELIN / PRESENCE

昔、一曲目「アキレス最後の戦い」を渋谷陽一のFM番組で聴いた。アルバム<In Through The Out Door>が出る前のことだから一応リアルタイムで聴いたことになるが、この一曲だけ聴いても<Presence>をリアルで聴いたとは無論言えない。アルバムを買って聴…

ROD STEWART / IT HAD TO BE YOU: THE GREAT AMERICAN SONGBOOK

「The Great American Songbook」第1集。この企画の勝因はまず編曲だ。“スーパースター”R・スチュワートに相応しく豪華で多彩なトラックの目白押しかと思いきや、楽団編成だけでなくテンポやリズムまで最小限の範囲内で効果的に統一されている。強い抑制心…

ROD STEWART / STARDUST: THE GREAT AMERICAN SONGBOOK, Vol. III

ロッド・スチュワートの「The Great American Songbook」シリーズ。世評ほど大したものでもないと思うんだが、そう言いながらこの妙にウキウキした味が捨て難くて時々思い出しては聴く。本作はその第3集。第何集でもどれも似たり寄ったりなんだが(そういう…

JOE PASS with RED MITCHELL / FINALLY: LIVE IN STOCKHOLM

ジョー・パスといえばまずは<Virtuoso>ということになるのだろうが、あれだけを聴いてもJ・パスを分かったことにはならない。息継ぎも無しに音符で埋め尽くすバカテクぶりは一面でしかない。しかし他の一面を知るにはどのアルバムを聴けば良いのか、それ…

MILES DAVIS AT CARNEGIE HALL

コンプリート・ヴァージョンの2枚組CDも出ているようだが、ウチのは古そうな国内盤LP。昔のライヴ録音だけに音もあまり良くはないと思いきや、そうならないところで本作はちょっと面白い。一聴して低品質のAMラジオのようなモノラル録音ではあるのだ…

JOHN SCOFIELD TRIO / OUT LIKE A LIGHT

ギターっていう楽器はその気なら一人二役でも三役でも出来るんだが、それが仇でギタリストという人種は本来的にバランス感覚を少し欠いてると思った方がいいですね。ピアノも万能楽器だけど不思議と結果はどっちかというと逆になる。あくまで楽器のせいです…

CARLA BLEY / DINNER MUSIC

リズム隊に“スタッフ”の面々を迎えたカーラ・ブレイの異色作かつ代表作ともされる本作だが、なぜだか私こと“スタッフ”のベーシストがアンソニー・ジャクソンだと勘違いしているところがあって、その無意識の前提のせいで本作もベースがA・ジャクソンだと誤…

KEITH JARRETT, GARY PEACOCK, JACK DEJOHNETTE / SOMEWHERE

キース・ジャレットのこのトリオはスタンダード曲を演奏するという以上でも以下でもないことを延々続けている。そこに例えば「よし、今度は○○○集を出そう」とか「マイルスのレパートリーで一枚作ろう」みたいな姑息な手段を用いないところがいい。諸作のほぼ…

CHARLES KYNARD / REELIN' WITH THE FEELIN'

普段の守備範囲に入っていないミュージシャンのものでも何かひとつ共感ポイントがあればアルバムは愛聴盤になり得るわけで、本作チャールス・カイナード盤の場合はベースがキャロル・ケイという一事がその共感ポイントにあたる。エレキ・ベースという楽器が…

GARY BURTON / TIMES SQUARE

頭数も気分のうちでゲイリー・バートンならクインテットよりもカルテットが良い。ピアノよりギターを入れることに異論はないだろう。「Vib+ G+ B+ Ds」これが基本形。だがたまにギターも邪魔に感じる。ならギターを廃してワンホーンにしよう。サックスだとバ…

DEEP PURPLE / ライヴ・イン・ジャパン 72 完全盤

名盤<Made in Japan>に別テイクを加えたほぼ完全盤なんだが、最後まで聴いても従来盤を超えるテイクは遂に無く、意気消沈の3枚組。主な原因はリッチー・ブラックモアの好不調ムラっ気の多さだ。時にレッドゾーンを超える爆発力を見せるが、そういうテイク…

DEEP PURPLE / MACHINE HEAD LIVE 1972

72年のコンサート映像だが商品として世に出たのはずっと後のことだ。音でしか知らない第二期ディープ・パープルを見て驚いたことのひとつは曲の長い間奏でイアン・ギランがコンガを叩いていたこと。この人は基本的に真面目な常識人なのだろう。自分の手が…

TORE JOHANSEN feat. STEVE SWALLOW / I.S.

例によってスティーヴ・スワロー参加作は素通りできない、という理由以上の期待もせずに買ったトーレ・ヨハンセンだったんだが中身はまずまず良い。S・スワロー自身が主役のときにはもう演らないような気分のある初期の佳曲「Eiderdown」「Falling Grace」…

Bill Frisell, Ron Carter, Paul Motian

トリオでギターがビル・フリゼール、ドラムがポール・モチアン、と来ればベーシストはチャーリー・ヘイデンあたりで自然だがなんとロン・カーター。なぜわざわざR・カーターか。一曲目が「Eighty-One」だからR・カーターなのか、R・カーターだから「Eight…

BILL EVANS / ライブ・イン・トーキョー

スティーヴ・スワローの愛すべき佳曲「Hullo, Bolinas」に昔の洋楽よろしく勝手な邦題を付けるとすると「薄幸美人」でどうだろうか。もろく、壊れやすく、近づいた分だけ遠ざかるが、こちらの心配をよそに向こうは向こうで何とかなっていく。暗い中にも一抹…

BILL EVANS, JIM HALL / UNDERCURRENT

近年、秋が短い。暑いと思っていたら急に寒くなる。寒い日に本作はミス・マッチだ。余計に寒くなる。ジャケット・アートもこんな調子だが中身も決して温暖な音楽ではなく、特に「Dream Gypsy」が寒い。三拍子の曲というのは不思議なものでメジャー調とマイナ…

JOE HENDERSON / MULTIPLE

ブラック・ジャズというジャンルがあって、まぁお好きな人には悪いがあまりガンバって聴くほどの価値がある音楽とは思っていない。だいたい途中で飽きるよね。さて、出だしブラック・ジャズ寄りに聴こえる本作はどうか。悪くもないが途中で眠くなるところま…

JAZZ TO THE WORLD (Various Artists)

ブルーノートのオムニ盤。基本的にこの類には興味が無いが、マイケル・フランクス&カーラ・ブレイ&スティーヴ・スワローでの「Let It Snow」一曲があった。が、期待とは少し違った。上の3人にギターとドラムも加わるバンド形式。プロデュースはギタリスト…

PAUL MOTIAN / ON BROADWAY, VOL. III

全5作から成るポール・モチアンのOn Broadwayシリーズ3作目。あとの4作は未聴。後回しにしているうちにP・モチアンは他界してしまった。痛恨のミス。音声再生装置としてのスピーカーから出て来る音は同じでも、いま聴いているレコードの音楽家がこの世の…

CARLA BLEY / SEXTET

1987年作。「Lawns」という曲はジワジワ広まって今ではジャズ界でちょっとしたスタンダードナンバーになっているようだが本作収録のそれがオリジナル。 その昔、クロスオーバー・ブームなる現象があって、それはかなりの部分でインスト・ギタリスト・ブーム…

GIL EVANS & LEE KONITZ / HEROES

音楽を聴いていて時間が止まる感覚になることがあるが、そのとき脳に具体的に何が起きているのか生理現象として説明が出来るものらしい(という趣旨の記述を何かで見かけた)。私の場合はギル・エヴァンスとリー・コニッツのこのデュオ盤を聴いていると時間…

GIL EVANS / PRIESTESS

1977年録音ライヴ盤。本作の少し前に出た第1・2集に渡る大作<Live At The Public Theater>の余勢を駆って出してきたような蔵出し未発表モノだったんだが、その内容は<Live At~>に勝るとも劣らない。なんせこっちにはデビッド・サンボーンもいればジョ…

MILES DAVIS / KIND OF BLUE

今でこそ5曲全部に違った趣旨を聴き取れるわけだが、最初のうちは3曲目のバラード以外はどれもこれも同じような曲にしか聴こえなかった。これは辛い。それでも何度も聴いたのはジャズ初心者としてはとりあえず世評を信じてみるより他に手がなかったからだ…

MILES DAVIS / MILESTONES

やっぱり1曲目は「Milestones」にするべきだったんじゃないだろうか。「Dr. Jackle」ではちょっといきなりテンボが早過ぎるよね。3曲目の「Two Bass Hit」がまた速い。なんか落ち着かないなぁ、これはもうカットでいいです。代わりにはそうだな、<1958 MI…

MILES DAVIS / LIVE AROUND THE WORLD

テレビの洋楽ライブ番組で初めてジェームス・ブラウンを見たとき、やっていることがほとんどマイルスと同じだなと思ったんだが、事実関係はもちろん逆で本家はJBのほうなわけだ。なるほど純度も洗練度も明らかにJBのほうが上だ。それ以来マイルスが少し…