音盤日誌@金沢(仮)

レコード(LP/CD/DVD)を聴いて思ったことを書く日誌。

THE SWALLOW QUINTET / INTO THE WOODWORK

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スティーヴ・スワローという人はおよそキャリアに浮き沈みのない人だ。絶妙な輝度を保ちながら途切れることなく緩やかな上昇を続けている。そして本作でひとつの新たな段階に到達した。この進化が本作ひとつに終わらないならポール・モチアンゲイリー・バートンチャーリー・ヘイデン、そしてカーラ・ブレイといった盟友でありながら一歩先を行く偉大なリーダー達とついに肩を並べることになるだろう。本作での顕著な変化は主役のスワロー氏よりもまずサイドメンが光って見えること。S・スワローは意外なほどに多作家でもあるが過去のどのアルバムにも感じなかったことだ。特にサックスとギターが素晴らしい。この二人をリーダーが光らせていると感じさせるところが良いバンドの証だ。そう、これはバンドなのだ。裏付けるようにこのアルバムの名義は<The Swallow Quintet>となっている。これも初めてのことだ。これまでの例ではたとえ参加メンバーが固定されてバンド形式を採っていたとしても名義は<Steve Swallow>だった。齢70を過ぎて(1940年生)ようやくスワロー氏は自分のバンドを持つ気になったのだ。聴き手の側としても少々襟を正してかからねばなるまい。といっても聴こえてくるのはどこまでもSmall Comfort(9曲目のタイトルです)な世界、力を抜いてどっぷりつかればそれでよし。