音盤日誌@金沢(仮)

レコード(LP/CD/DVD)を聴いて思ったことを書く日誌。

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

GARY BURTON / TIMES SQUARE

頭数も気分のうちでゲイリー・バートンならクインテットよりもカルテットが良い。ピアノよりギターを入れることに異論はないだろう。「Vib+ G+ B+ Ds」これが基本形。だがたまにギターも邪魔に感じる。ならギターを廃してワンホーンにしよう。サックスだとバ…

DEEP PURPLE / ライヴ・イン・ジャパン 72 完全盤

名盤<Made in Japan>に別テイクを加えたほぼ完全盤なんだが、最後まで聴いても従来盤を超えるテイクは遂に無く、意気消沈の3枚組。主な原因はリッチー・ブラックモアの好不調ムラっ気の多さだ。時にレッドゾーンを超える爆発力を見せるが、そういうテイク…

DEEP PURPLE / MACHINE HEAD LIVE 1972

72年のコンサート映像だが商品として世に出たのはずっと後のことだ。音でしか知らない第二期ディープ・パープルを見て驚いたことのひとつは曲の長い間奏でイアン・ギランがコンガを叩いていたこと。この人は基本的に真面目な常識人なのだろう。自分の手が…

TORE JOHANSEN feat. STEVE SWALLOW / I.S.

例によってスティーヴ・スワロー参加作は素通りできない、という理由以上の期待もせずに買ったトーレ・ヨハンセンだったんだが中身はまずまず良い。S・スワロー自身が主役のときにはもう演らないような気分のある初期の佳曲「Eiderdown」「Falling Grace」…

Bill Frisell, Ron Carter, Paul Motian

トリオでギターがビル・フリゼール、ドラムがポール・モチアン、と来ればベーシストはチャーリー・ヘイデンあたりで自然だがなんとロン・カーター。なぜわざわざR・カーターか。一曲目が「Eighty-One」だからR・カーターなのか、R・カーターだから「Eight…

BILL EVANS / ライブ・イン・トーキョー

スティーヴ・スワローの愛すべき佳曲「Hullo, Bolinas」に昔の洋楽よろしく勝手な邦題を付けるとすると「薄幸美人」でどうだろうか。もろく、壊れやすく、近づいた分だけ遠ざかるが、こちらの心配をよそに向こうは向こうで何とかなっていく。暗い中にも一抹…

BILL EVANS, JIM HALL / UNDERCURRENT

近年、秋が短い。暑いと思っていたら急に寒くなる。寒い日に本作はミス・マッチだ。余計に寒くなる。ジャケット・アートもこんな調子だが中身も決して温暖な音楽ではなく、特に「Dream Gypsy」が寒い。三拍子の曲というのは不思議なものでメジャー調とマイナ…

JOE HENDERSON / MULTIPLE

ブラック・ジャズというジャンルがあって、まぁお好きな人には悪いがあまりガンバって聴くほどの価値がある音楽とは思っていない。だいたい途中で飽きるよね。さて、出だしブラック・ジャズ寄りに聴こえる本作はどうか。悪くもないが途中で眠くなるところま…

JAZZ TO THE WORLD (Various Artists)

ブルーノートのオムニ盤。基本的にこの類には興味が無いが、マイケル・フランクス&カーラ・ブレイ&スティーヴ・スワローでの「Let It Snow」一曲があった。が、期待とは少し違った。上の3人にギターとドラムも加わるバンド形式。プロデュースはギタリスト…

PAUL MOTIAN / ON BROADWAY, VOL. III

全5作から成るポール・モチアンのOn Broadwayシリーズ3作目。あとの4作は未聴。後回しにしているうちにP・モチアンは他界してしまった。痛恨のミス。音声再生装置としてのスピーカーから出て来る音は同じでも、いま聴いているレコードの音楽家がこの世の…

CARLA BLEY / SEXTET

1987年作。「Lawns」という曲はジワジワ広まって今ではジャズ界でちょっとしたスタンダードナンバーになっているようだが本作収録のそれがオリジナル。 その昔、クロスオーバー・ブームなる現象があって、それはかなりの部分でインスト・ギタリスト・ブーム…

GIL EVANS & LEE KONITZ / HEROES

音楽を聴いていて時間が止まる感覚になることがあるが、そのとき脳に具体的に何が起きているのか生理現象として説明が出来るものらしい(という趣旨の記述を何かで見かけた)。私の場合はギル・エヴァンスとリー・コニッツのこのデュオ盤を聴いていると時間…

GIL EVANS / PRIESTESS

1977年録音ライヴ盤。本作の少し前に出た第1・2集に渡る大作<Live At The Public Theater>の余勢を駆って出してきたような蔵出し未発表モノだったんだが、その内容は<Live At~>に勝るとも劣らない。なんせこっちにはデビッド・サンボーンもいればジョ…

MILES DAVIS / KIND OF BLUE

今でこそ5曲全部に違った趣旨を聴き取れるわけだが、最初のうちは3曲目のバラード以外はどれもこれも同じような曲にしか聴こえなかった。これは辛い。それでも何度も聴いたのはジャズ初心者としてはとりあえず世評を信じてみるより他に手がなかったからだ…

MILES DAVIS / MILESTONES

やっぱり1曲目は「Milestones」にするべきだったんじゃないだろうか。「Dr. Jackle」ではちょっといきなりテンボが早過ぎるよね。3曲目の「Two Bass Hit」がまた速い。なんか落ち着かないなぁ、これはもうカットでいいです。代わりにはそうだな、<1958 MI…

MILES DAVIS / LIVE AROUND THE WORLD

テレビの洋楽ライブ番組で初めてジェームス・ブラウンを見たとき、やっていることがほとんどマイルスと同じだなと思ったんだが、事実関係はもちろん逆で本家はJBのほうなわけだ。なるほど純度も洗練度も明らかにJBのほうが上だ。それ以来マイルスが少し…

日野元彦 / IT'S THERE

これはちょっと評価しにくい。強力な布陣が出す音はやはり強力なのだが、正直レッド・ツェッペリンの曲をジャズ調インストでやることの意義を当の(元彦氏は別としても)ミュージシャン達がどの程度に考えていたのか、そういった疑問をつい挟みながら聴いて…

MICHEL GODARD / MONTEVERDI ~ A TRACE OF GRACE

ジャケット中央の「MONTEVERDI」という文字列はポピュラー音楽の感覚ならアルバム・タイトルだと思うところだが作曲家の名前だった。こういうちょっとしたところにも馴染みの薄さがまず先に来るクラシック音楽の世界なんだが、スティーヴ・スワロー参加作と…

MILES DAVIS / MUNICH CONCERT

正規のディスコグラフィーには含まれないハーフ・ブートレグの類だが内容は粗悪品に非ず。音質良し(ブートレグとすればA+級)、コンサートの全曲収録(3枚組!)、マイルス・バンドが絶好調だった1988年の録音、と来れば悪いはずはない。しかも安かった…

CARLA BLEY, STEVE SWALLOW / DUETS

飽きもせず何年も聴き続けているアルバムというものがあって好きとか嫌いとかいう感覚もすでに少し超えている。カーラ・ブレイとスティーヴ・スワローはデュオ・アルバムを3枚作っているが、この一作目はあとの二作に比べてS・スワローが前に出張って来な…

BILL GOODWIN / SOLAR ENERGY

ビル・グッドウィンのたぶん唯一のリーダー作。自曲の披露とか人脈の誇示とか、たぶんそういう欲が少ないドラマーがここ一番の一枚を出すとき、各々固定メンバーのカルテットとトリオを半々に配置しつつジョン・スコフィールドのみは全曲参加させるというア…

JEFF BECK WITH THE JAN HAMMER GROUP LIVE

<Blow by Blow>、<Wired>、<There And Back>をして三部作と表現する向きがあるが、異議ありだ。三部作とするなら<There~>ではなく本作<with The Jan~>が入る。ホップ・ステップ・ジャンプ。ただ最後のジャンプは少し飛距離が足りなかった。そこ…

JEFF BECK / WIRED

一般にジェフ・ベックは<Blow by Blow>の新境地=インスト路線をその次作である本作「Wired」で決定付けたということになっている。そこまでは合っている。けれど、そして現在に至る--と続けると少し違う。ベックは本作で一度終わった。次作<There And …

JEFF BECK / THERE AND BACK

1980年作。当初はヤン・ハマーを擁した冒頭3曲がインパクト大だったんだが、今の耳にはあとの5曲よりも分が悪い。なぜなら5曲のほうがテンションは低いながらも現在のジェフ・ベックにより多く通じるものがあるからだ。ただそれはベックが今に至る息の長…

CHARLES MINGUS / CHANGES ONE

以下雑学。ジョニ・ミッチェルのアルバム<Mingus>では曲と曲の間にチャールズ・ミンガスの生前の肉声が挿入されているんだが、「Funeral」と題されたパートで誰かと会話している後ろでやかましく鳴っているレコードは本作2曲目の「Sue's Changes」です。…

CHARLES MINGUS / CHANGES TWO

同時録音二部作の後編。最初に聴いたのはまだLPの時代。そのとき本作は手に入ったが地元のレコード店をまわっても<One>が見つからなかった。といってもオーダーを試みた記憶はないので店頭に無くてそれで早々にあきらめたのだろう。レジのお兄サンやお姉…

CHARLES MINGUS / TOWN HALL CONCERT (その2)

全2曲入り。たった2曲。合わせて約45分。CD1枚の容量にはまだ30分ほど余裕があるんだがこの潔さがよい。これでいいのだ。けれどダメなところもある。2曲目途中に音が途切れる箇所があるのはLPではそこがA/B面の変わり目だったからだが、長尺…