2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧
ギル・エヴァンスではこれが一番好きだな。いつ聴いてもある種の高みへ誘い出してくれる音。しかし、これを本当にG・エヴァンスの作品としていいものか、菊地雅章氏のアルバムとして捉えたほうがよいのか。そのあたりに確信が持てないので「ギル・エヴァン…
本作はキューバン・ボレロなる音楽を素材にしているらしい。何でもジャズ目線で解釈出来ると考えがちなジャズ音楽家の悪い癖が出ていなければ良いのだが、と思いながら聴くうちに心がジャズから少し離れた。この気持のいいベースは誰だ?、とクレジットを確…
ララ・イアコヴィーニなる歌手のスティーヴ・スワロー大フィーチャー盤。といっても、この歌手もバンドもスタッフも別にスワロー御大のお出ましがなくても同じコンセプトでそれなりの作品に仕上げたのではないかという力量と雰囲気を感じさせる良好盤だ。L…
トニー・ライスはブルーグラスの人だが、本人は自らの音楽を”スペース・グラス“と称していたとか。スペーシー(宇宙的)には聴こえないがなんとなくニュアンスは分かる。ブルーグラスにジャズの要素を取り入れたということらしいのだが、そういう話を聞くと…
「12月8日」という日は一般的には真珠湾攻撃の日かジョン・レノンが死んだ日ということになっている。そして私は今日まで知らなかったがアントニオ・カルロス・ジョビンの命日でもあるそうな。ジョビンでただ一枚だけを選ぶのはとても無理だが最終的には…
ブルーグラスは良く知らないがトニー・ライスの名前は以前から知っている。昔、FM番組をエアチェックしたカセットテープを繰り返し聴いたからだ。無邪気なもので本作収録曲の半数が録音されたに過ぎないそのカセットで当時は満足していたが今は物欲が違う…
ビル・エヴァンスは「Santa Claus Is Coming To Town」をソロ・ピアノ・バージョンでも残している。Riverside期の録音だが、いわゆるオリジナル・アルバムに収録された形では出ていないので盲点か。本盤はB・エヴァンスの死後だいぶ経ってから世に出た。<V…
「サンタが街にやってくる」一曲のためにクリスマス盤の趣あり、と思い出した機会を逃さず久しぶりに聴く。RiversideからVerveに移籍した後のアルバムだが、まだポール・モチアンがいることが心強い。何の責任も負わず単にCDを聴くだけの人間が何をいった…
クリスマスが近い。この時節、大都会に居た頃は街にクリスマス曲があふれ過ぎて風情も何もなかった。ここ金沢はそこまで酷くもないと思うが、北陸新幹線開業以降の人の多さを避けて市街にあまり出なくなった金沢市民(=私)は案外に街中の実態をよく知らな…
年末を意識する時節になって来た。今年のベスト・アルバムは何だったか?。まぁそれはそれとして、本作は2012年の私的ベスト盤だったはずだ。スティーヴ・キューンがスティーブ・スワローを起用してピアノ・トリオの新作をしかもECMから出した。興奮。こ…
ゲスト扱いのスター・プレイヤーを迎えてのライヴ盤ということでギル・エヴァンスとしては異色盤ということになる。というわけでG・エヴァンス入門者向けとはいえない。むしろローランド・カークの愛好者で未聴ならぜひ聴いて欲しい一枚だ。R・カークのま…
1983年録音ライヴ盤。同時期の決定盤に<At Sweet Basil>があるが、それより優先して聴くべき要素までは見当たらなくとも意外に肉薄の場面あり。メンバーは<At Sweet~>と一人も重複しない。これは何を意味するか。晩年のギル・オーケストラの音はメンバ…
1961年録音、カーネギー・ホール盤の後編。前後編を併せた完全版CDは持っていないので単独の従来盤LPで聴く。前編でもそうなんだが本作のウリであるはずのギル・オーケストラとの共演テイクよりもマイルス・バンド単独のテイクのほうが明らかに聴きどこ…
チャーリー・ヘイデン“Montreal Tapesシリーズ”のひとつ。いいなぁこれ。土曜日の午後にぴったりきたのはジャズ・フェスのライヴ録音だからじゃないかな。午後というよりもう夕方だが、まだしばらくは陽が高い。雨が降ったり止んだりだが今はうまい具合に晴…
この<MACHINE HEAD>で聴けるリッチー・ブラックモアのギターの音色は実に良い。他ではなかなか聴けない音。他人はもちろんリッチー自身に限っても<IN ROCK>にも<MADE IN JAPAN>にも<BURN>にも後のレインボーでもこの音は無い。誤解を恐れずに言えば…
既存の有名曲がボサノバや他のラテン調にリ・アレンジされて演奏されることがある。けっこうある。頻繁にある。あー、もう止めてくれ。一定数の成功例はある。最初にやり始めた人は偉いということもある。けれど多くは無意味な行為だ。さて、では本作はどう…
カットされてたテナー・ソロを復活させましたとか、実はこんな曲もやってましたとか、実際の演奏順に並べ替えましたとか、その手の話がマイルスの2ndクインテットにもチラホラあるんだが、若い時ならいざ知らず歳くってくるとだんだん整理・理解するのが…
買おうと思って買ったアルバムではない。キャロル・ケイのベース目当てで入手したCD<Reelin' with The Feelin'>にいわゆる“ツー・イン・ワン“で本作が付いてきた。こういう音楽家の意向を反映していない抱き合わせ商法は嫌いだが単品CDの在庫が無かっ…
“なるほど、その手があったか!”。カーラ・ブレイがクリスマス・アルバムを出すと知ったときの第一印象だ。一瞬の意表を突かれたが言われてみれば最高の適役。そして予想以上に上出来のアルバムが届いた。しかしさすがにクリスマス物を1年中そう何度も聴く…
ステファン・グラッペリとの共演盤。当時バートン・バンドに加入して間もなく、力量に不足があったというギタリストは不在。ギタリスト氏には不幸だったが、そのおかげでスッキリとしたカルテット編成となったのは本作にとっては良かった。ゲストであり同時…
昔、一曲目「アキレス最後の戦い」を渋谷陽一のFM番組で聴いた。アルバム<In Through The Out Door>が出る前のことだから一応リアルタイムで聴いたことになるが、この一曲だけ聴いても<Presence>をリアルで聴いたとは無論言えない。アルバムを買って聴…
「The Great American Songbook」第1集。この企画の勝因はまず編曲だ。“スーパースター”R・スチュワートに相応しく豪華で多彩なトラックの目白押しかと思いきや、楽団編成だけでなくテンポやリズムまで最小限の範囲内で効果的に統一されている。強い抑制心…
ロッド・スチュワートの「The Great American Songbook」シリーズ。世評ほど大したものでもないと思うんだが、そう言いながらこの妙にウキウキした味が捨て難くて時々思い出しては聴く。本作はその第3集。第何集でもどれも似たり寄ったりなんだが(そういう…
ジョー・パスといえばまずは<Virtuoso>ということになるのだろうが、あれだけを聴いてもJ・パスを分かったことにはならない。息継ぎも無しに音符で埋め尽くすバカテクぶりは一面でしかない。しかし他の一面を知るにはどのアルバムを聴けば良いのか、それ…
コンプリート・ヴァージョンの2枚組CDも出ているようだが、ウチのは古そうな国内盤LP。昔のライヴ録音だけに音もあまり良くはないと思いきや、そうならないところで本作はちょっと面白い。一聴して低品質のAMラジオのようなモノラル録音ではあるのだ…
ギターっていう楽器はその気なら一人二役でも三役でも出来るんだが、それが仇でギタリストという人種は本来的にバランス感覚を少し欠いてると思った方がいいですね。ピアノも万能楽器だけど不思議と結果はどっちかというと逆になる。あくまで楽器のせいです…
リズム隊に“スタッフ”の面々を迎えたカーラ・ブレイの異色作かつ代表作ともされる本作だが、なぜだか私こと“スタッフ”のベーシストがアンソニー・ジャクソンだと勘違いしているところがあって、その無意識の前提のせいで本作もベースがA・ジャクソンだと誤…
キース・ジャレットのこのトリオはスタンダード曲を演奏するという以上でも以下でもないことを延々続けている。そこに例えば「よし、今度は○○○集を出そう」とか「マイルスのレパートリーで一枚作ろう」みたいな姑息な手段を用いないところがいい。諸作のほぼ…
普段の守備範囲に入っていないミュージシャンのものでも何かひとつ共感ポイントがあればアルバムは愛聴盤になり得るわけで、本作チャールス・カイナード盤の場合はベースがキャロル・ケイという一事がその共感ポイントにあたる。エレキ・ベースという楽器が…