音盤日誌@金沢(仮)

レコード(LP/CD/DVD)を聴いて思ったことを書く日誌。

ジャズ系

CHARLIE HADEN, QUARTET WEST / NOW IS THE HOUR

映画音楽とは以前は鑑賞音楽の確立した1ジャンルだったはずだが、映画本編をノーカットで簡単にビデオ鑑賞できるようになった今ではその音楽部分だけを積極的に切り取って楽しむ意味はもう失われた。カルテット・ウェストの音楽にはかつての上質なサントラ…

MILES DAVIS / YOU'RE UNDER ARREST

嬉しいような迷惑なような20枚組(!)モントルーBOXが出たとき、買わないわけにもいかなかったがとっさに聴き入る体勢にもなれず死蔵していたところ、最近ふと鳴らしてみるとこれが悪くない。大挙CD8枚にわたって収録されたジョンスコ、ダリル・ジ…

PAUL BLEY / HOMAGE TO CARLA

別れたカミさんの曲だけでアルバム一枚作るというのも芸術家のやることは常人の理解を超えるわけだが、ふと、これはもしかして慰謝料を補填するための行為なのではないか?と考えた。作曲者にも金が入る。馬鹿な夢想に過ぎないことは承知で自分のこの思い付…

CHARLES MINGUS / TOWN HALL CONCERT

昔LPで持っていた本作をCDで買い直した。内容は文句なし。それはいいとして、これがたったの800円ナリ。安価なのはけっこうなことだがそこまで安くしてもらわなくてもいいよ。その一方でたいしたものでもなさそうなコンサートでも気軽とはいえない額…

CARLA BLEY, STEVE SWALLOW / GO TOGETHER

カーラ・ブレイとスティーヴ・スワローのデュオ2作目。馴染みすぎて私的にはもうほとんど古典だ。しかし古典と呼びたくなるほどの定評価ということは実は日常的にはもうあまり聴いていなかったりもする。そういうアルバムを久しぶりに聴くにあたってはある…

JO STAFFORD / JO + JAZZ

「You'd Be So Nice To Come Home To」といえばボーカル物ならまずはヘレン・メリルだが、あの感情過多な歌い方がどうも苦手。クールなジョー・スタッフォードのほうがずっと好きだ。それが本作を「You’d Be~」の決定版バージョンであると定評価たらしめた…

THE CARLA BLEY BIG BAND / LOOKING FOR AMERICA

2002年録音作。というと「9.11」の翌年なんだが、このアルバム・タイトルはやはりあの事件以来の自国を憂いてのものだったのだろうか。カーラ・ブレイはアメリカをどう見失ったのか?。音楽に政治色を持ち込むことに別に反対はしない。が、そこに無関心でも…

GARY BURTON, PAT METHENY, STEVE SWALLOW, ANTONIO SANCHEZ / QUARTET LIVE

2006年の大事件だったゲイリー・バートンの復活カルテットなんだが、そのときのこのライヴ盤が出たのが2009年。すぐに出ていればメガトン級の新譜になっていたはずなのに3年待たされる間に鮮度も有り難みも大いに落ちてしまった“怨み盤”。けれどそれからさ…

GIL EVANS / THERE COMES A TIME (Original Version)

ギル・エヴァンスの最高傑作はこれだと思う。単に演奏内容での判定なら超強力盤は他にもある。<Preistess>しかり<Sweet Basil>しかり。しかしライヴ盤というものには自然物の趣があって人が手をかけた作品と見過ぎるには若干の抵抗もある。それではとス…

GIL EVANS / TOKYO CONCERT

収録当時のギタリストだった川崎燎氏によるライナーノーツがなかなか良い。ギル・エヴァンスを偲ぶエピソードで綴られている。G・エヴァンスという人は「オーディオ機器にはチンプンカンプンな人」で、自宅のプレイヤーか何かの調子が悪くなったら「Ryo、ち…

MILES DAVIS / SOMEDAY MY PRINCE WILL COME

「Pfrancing」と「Teo」という派手な2曲にはさまれたバラードの曲名が覚えられない。あぁそうか「Drad-Dog(ドラッド・ドッグ)」だった。たぶん「ブラック・ドッグ」(*by Led Zeppelin)と語感が似ているせいで「ドラッド・ドッグ」が別のハードな曲の名前…

PAUL MOTIAN AND THE EBBB / PLAY MONK AND POWELL

エレクトリック・ビバップ・バンド(EBBB)のセロニアス・モンク&バド・パウエル集。1998年録音。ベースがスティーヴ・スワローなんだが、現スワロー・クインテットの素晴らしすぎるフロントマン二人、つまりクリス・チーク(ts)とスティーヴ・カーディナス(…

THE SWALLOW QUINTET / INTO THE WOODWORK

スティーヴ・スワローという人はおよそキャリアに浮き沈みのない人だ。絶妙な輝度を保ちながら途切れることなく緩やかな上昇を続けている。そして本作でひとつの新たな段階に到達した。この進化が本作ひとつに終わらないならポール・モチアン、ゲイリー・バ…

GEORGE SHEARING & JIM HALL / FIRST EDITION

デュオ・アルバムが好きだ。記憶をたどるとたしか最初に買ったデュオ・アルバムが本作だ。1981年のリリース。NHK-FMのジャズ番組の新譜紹介コーナーでかかったのを聴いたのが買ったきっかけだ。当時はレコードのそういう買い方をよくしたものだ。ジム・ホー…

MILES DAVIS AT FILLMORE

どれがイーストでどれがウェストだったか覚えられないエレクトリック・マイルスの一連の“フィルモア”。まぁどっちでもいいです。先夜これを鳴らしながら寝床に就いたら悪夢を見て目が覚めた。経った時間はわずかでCDがまだ鳴っていた。ちょうどチック・コ…

THE THELONIOUS MONK ORCHESTRA AT TOWN HALL

なかなかいいんですよね、セロニアス・モンクのビッグ・バンド。いやビッグではなくて10ピース・バンドか。どっちでもいいけど正規のビッグ・バンド編成よりもこのぐらいのほうが好きです。しかし「正規」ってのもそもそも変な話ではあります。「フルバン…

DIANA KRALL / THE LOOK OF LOVE

いつの間にか10数年も前のアルバムになる。ひと頃よく聴いたがダイアナ・クラールに関しては本作よりも地味ながら真面目に音楽の楽しさにあふれた最初期の何枚かのほうがその後の愛聴盤になっている。けれど久しぶりに聴いた本作の印象は意外にも地味で真…

MILES DAVIS / AGHARTA <LP, CBS SONY, SOPJ 92-93 (1975)>

LPは好きだが現実問題としてCDで買い直した場合はその大半は売ってしまう。割り切れば結局それで支障がないことのほうが多い。が、本作はそういうわけにいかない。なぜならCDとは明らかに音響が異なるからだ。A/B面、C/D面の各々境目がCDでは…

THE CARLA BLEY BIG BAND / GOES TO CHURCH

LPからCDの片面長時間収録時代になったせいか、いつしか長尺組曲の収録がカーラ・ブレイのアルバムの常態となった。ライヴ演奏を前提としたと思われる編曲のままにアルバムにも収録される。しかし実演のその場で聴くならいいがCDで聴くこの長さはとき…

GARY BURTON & FRIENDS / SIX PACK

平易な選曲に分かりやすい編曲で芸術点は高くない。ゲイリー・バートンといえどもGRPではこんなサウンドになっちゃうんだな、という第一印象だったが、予想できたことなので失望するほどではない。逆にそのへんを割りきって聴ければ本作はよく出来ている。ス…

KEITH JARRETT, GARY PEACOCK, JACK DEJOHNETTE / TRIBUTE

ライヴ・レコーディング盤というのは結局のところ一個の作品というよりは追体験もしくは疑似追体験するためのツールだ。キース・ジャレットのこのトリオの諸作(ほとんどがライヴ盤だ)を聴くとよくわかる。演奏そのものも素晴らしいが最も感銘を受けるのは…

MILES DAVIS / AGARTHA

本作は故中山康樹氏の著作「マイルスを聴け」の中で、これはこれで素晴らしいが姉妹盤<PANGAEA>よりもだいぶ劣る旨で断定されてしまった。その影響だかどうだか “いや、アガルタのほうが上だ” という意見をあまり見ない。なるほど、この日の実演が夜の部の…

ROLAND KIRK / BOOGIE-WOOGIE STRING ALONG FOR REAL

ローランド・カークの遺作だとか。まぁそれはいいとして3曲目「Make Me A Pallet On The Floor」のベースが耳に止まる。これはエレキベース?ウッドベース?。一聴してエレベだとは思いつつも絶妙にLo-Fiでアコースティックな良い音色にちょっと分からなく…

GARY BURTON QUINTET / DREAMS SO REAL ~ MUSIC OF CARLA BLEY

1975年録音のカーラ・ブレイ曲集。ツイン・ギター編成。調べてみるとこのときパット・メセニー21歳、ミック・グッドリック30歳。後からバンドに入って来たP・メセニーが師匠筋にもあたるらしいM・グッドリックをことごとく凌駕してしまっているようにも聴…

CHARLIE HADEN / THE MONTREAL TAPES, with GERI ALLEN and PAUL MOTIAN

Montreal Tapesシリーズは全7組の演奏を収録。各々の価値に優劣の差は無いが核になっているのはヘイデン(b)+モチアン(ds)の共通リズム隊で聴けるピアノ・トリオ3種であろう。このトリオにあえて順位を付けてみる。第一位/ポール・ブレイ、第二位/ジュリ…

CHARLIE HADEN / THE MONTREAL TAPES, with GONZALO RUBALCABA and PAUL MOTIAN

チャーリー・ヘイデンのMontreal Tapesシリーズ。ゴンザロ・ルバルカバのフィーチャー盤。ドラムはポール・モチアン。同じメンツで収録時期も近いG・ルバルカバのデビュー盤は主役のピアノが騒々しく結局好きになれなかったが、何がどう違っているのか本作…

PAUL BLEY, GARY PEACOCK, PAUL MOTIAN / NOT TWO, NOT ONE

ゲイリー・ピーコックは言わずと知れてキース・ジャレット・トリオの不動のベーシストでもあるわけだが、ポール・ブレイとのときのほうが嬉々として弾いているように聴こえますよ。キースとやるときは緊張するのかなぁ。。。などといかにもK・ジャレットの…

MILES DAVIS / DECOY

時間が経つほどリアルタイムで聴いたアルバムは大切になって来る。本作の、特にA面は衝撃だった。未知の音。B面出だしにはそれに比べれば幾分かの既視感もあったが次の長尺ブルースでまたもっていかれた。前作にも少し似たブルースはあったがまるで違う緊…

JOHN SCOFIELD & PAT METHENY / I CAN SEE YOUR HOUSE FROM HERE

ジョンスコとパット・メセニーの双頭盤にスティーヴ・スワローを起用するというアイディアは実に良かった。この二人の間に無理に割って入ろうとせず一方で睨みを効かせるなんてことが出来るベーシストは他にいない。すぐに思いつく事ではあっても実際にそう…

BILL EVANS / ALONE

7トラック入りの最後の2つがCD化で追加になったボーナス・トラック。ということはLPでは「Never Let Me Go」で終わるってことだ。なるほどね。じゃA面とB面の分かれ目はどこだったんだろ?。普通に考えれば3曲目と4曲目の間だろうか。でも私なら思…