音盤日誌@金沢(仮)

レコード(LP/CD/DVD)を聴いて思ったことを書く日誌。

MILES DAVIS / AGHARTA <LP, CBS SONY, SOPJ 92-93 (1975)>

LPは好きだが現実問題としてCDで買い直した場合はその大半は売ってしまう。割り切れば結局それで支障がないことのほうが多い。が、本作はそういうわけにいかない。なぜならCDとは明らかに音響が異なるからだ。A/B面、C/D面の各々境目がCDでは…

THE CARLA BLEY BIG BAND / GOES TO CHURCH

LPからCDの片面長時間収録時代になったせいか、いつしか長尺組曲の収録がカーラ・ブレイのアルバムの常態となった。ライヴ演奏を前提としたと思われる編曲のままにアルバムにも収録される。しかし実演のその場で聴くならいいがCDで聴くこの長さはとき…

小野リサ/ BOSSA CARIOCA

小野リサという人のアルバムは何枚かしか聴いていないが、どうやらこの人のイメージそのままに素直にオーソドックスにボサノバをしっかり聴かせてくれる作りになっているものは案外少ないようだ。本作はそうした少ないうちの一枚。そして大傑作。本作がある…

MICHAEL FRANKS / SLEEPING GYPSY

名前はよく見聞きした。音を聴く機会も無いではなかった。けれどマイケル・フランクスという人をそこから掘り下げてみようという気が起きなかったのは一にも二にもあのフニャフニャした歌唱法に耳がまず拒否反応を起こすからだ。どこがどう良いのかさっぱり…

LED ZEPPELIN / LED ZEPPELIN IV

レッド・ツェッペリンについてもそこそこ聴き込んだ自負はあるが、実は大半のアルバムを解散後だいぶ経ってから聴いた後追い組だ。自然それらはCDで聴くことになったが、そこに少々の悔いがある。CDがダメということではない。しかしLPの時代に作られ…

GARY BURTON & FRIENDS / SIX PACK

平易な選曲に分かりやすい編曲で芸術点は高くない。ゲイリー・バートンといえどもGRPではこんなサウンドになっちゃうんだな、という第一印象だったが、予想できたことなので失望するほどではない。逆にそのへんを割りきって聴ければ本作はよく出来ている。ス…

KEITH JARRETT, GARY PEACOCK, JACK DEJOHNETTE / TRIBUTE

ライヴ・レコーディング盤というのは結局のところ一個の作品というよりは追体験もしくは疑似追体験するためのツールだ。キース・ジャレットのこのトリオの諸作(ほとんどがライヴ盤だ)を聴くとよくわかる。演奏そのものも素晴らしいが最も感銘を受けるのは…

MILES DAVIS / AGARTHA

本作は故中山康樹氏の著作「マイルスを聴け」の中で、これはこれで素晴らしいが姉妹盤<PANGAEA>よりもだいぶ劣る旨で断定されてしまった。その影響だかどうだか “いや、アガルタのほうが上だ” という意見をあまり見ない。なるほど、この日の実演が夜の部の…

ROLAND KIRK / BOOGIE-WOOGIE STRING ALONG FOR REAL

ローランド・カークの遺作だとか。まぁそれはいいとして3曲目「Make Me A Pallet On The Floor」のベースが耳に止まる。これはエレキベース?ウッドベース?。一聴してエレベだとは思いつつも絶妙にLo-Fiでアコースティックな良い音色にちょっと分からなく…

GARY BURTON QUINTET / DREAMS SO REAL ~ MUSIC OF CARLA BLEY

1975年録音のカーラ・ブレイ曲集。ツイン・ギター編成。調べてみるとこのときパット・メセニー21歳、ミック・グッドリック30歳。後からバンドに入って来たP・メセニーが師匠筋にもあたるらしいM・グッドリックをことごとく凌駕してしまっているようにも聴…

CHARLIE HADEN / THE MONTREAL TAPES, with GERI ALLEN and PAUL MOTIAN

Montreal Tapesシリーズは全7組の演奏を収録。各々の価値に優劣の差は無いが核になっているのはヘイデン(b)+モチアン(ds)の共通リズム隊で聴けるピアノ・トリオ3種であろう。このトリオにあえて順位を付けてみる。第一位/ポール・ブレイ、第二位/ジュリ…

CHARLIE HADEN / THE MONTREAL TAPES, with GONZALO RUBALCABA and PAUL MOTIAN

チャーリー・ヘイデンのMontreal Tapesシリーズ。ゴンザロ・ルバルカバのフィーチャー盤。ドラムはポール・モチアン。同じメンツで収録時期も近いG・ルバルカバのデビュー盤は主役のピアノが騒々しく結局好きになれなかったが、何がどう違っているのか本作…

PAUL BLEY, GARY PEACOCK, PAUL MOTIAN / NOT TWO, NOT ONE

ゲイリー・ピーコックは言わずと知れてキース・ジャレット・トリオの不動のベーシストでもあるわけだが、ポール・ブレイとのときのほうが嬉々として弾いているように聴こえますよ。キースとやるときは緊張するのかなぁ。。。などといかにもK・ジャレットの…

MILES DAVIS / DECOY

時間が経つほどリアルタイムで聴いたアルバムは大切になって来る。本作の、特にA面は衝撃だった。未知の音。B面出だしにはそれに比べれば幾分かの既視感もあったが次の長尺ブルースでまたもっていかれた。前作にも少し似たブルースはあったがまるで違う緊…

JOHN SCOFIELD & PAT METHENY / I CAN SEE YOUR HOUSE FROM HERE

ジョンスコとパット・メセニーの双頭盤にスティーヴ・スワローを起用するというアイディアは実に良かった。この二人の間に無理に割って入ろうとせず一方で睨みを効かせるなんてことが出来るベーシストは他にいない。すぐに思いつく事ではあっても実際にそう…

BILL EVANS / ALONE

7トラック入りの最後の2つがCD化で追加になったボーナス・トラック。ということはLPでは「Never Let Me Go」で終わるってことだ。なるほどね。じゃA面とB面の分かれ目はどこだったんだろ?。普通に考えれば3曲目と4曲目の間だろうか。でも私なら思…

THELONIOUS MONK / THELONIOUS HIMSELF

ジャズ入門書の類でセロニアス・モンクの項は冒頭に近い位置にあってデカデカと本作が載っていたりする。そして自然の流れで入門者が最初に買うジャズアルバムの一枚になったりする。そして入門者は頭を抱えることになる。ジャズを聴こうと思い立った人に聴…

Carla Bley, Andy Shepperd, Steve Swallow / Trios

本作はカーラ・ブレイ自身が主宰するWATTレーベルではなくECMから初めてリリースされたことがちょっとした話題になったが、マンフレート・アイヒャーの選曲はファン目線の色合いも帯びて嬉しい。出し惜しみの無い選び方だ。これがもしWATT から出ていたら(…

GIL EVANS & STEVE LACY / PARIS BLUES

デュオ演奏というと普通はドラムレスになる。ドラムが無くても別にいいじゃないかという心理がデュオで何かやろうという動機の一部にはあると思う。そういうとき、鉄壁のリズムと丁々発止のやりとりでドラマーの不在を感じさせないデュオを演じるのも勿論悪…

CARLA BLEY / LIVE ! - 艶奏会

45分前後しかないLP1枚に何を収めるべきか?。本作でカーラ・ブレイは自らのユーモアの部分や難解な部分や曖昧な部分をばっさりとカットした。そのため必ずしも当時のカーラ・ブレイ・バンドの全貌を伝える内容には実はなっていないが、そこを補って余りあ…

CHARLIE HADEN / THE MONTREAL TAPES, with PAUL BLEY and PAUL MOTIAN

ポール・ブレイとキース・ジャレットの違いは冗談の通じる人と通じない人の違いのような気がする。通じるほうがもちろんP・ブレイだ。スティーヴ・ キューンは冗談は通じるが本心をあまり見せてない人のような気がする。P・ブレイも本心は見えにくいがそれ…

GARY BURTON & PAUL BLEY / RIGHT TIME RIGHT PLACE

意外なことと言わなければならない。この二人で作ったアルバムが他に無い。有りそうで無い。バートン&チック・コリアでは多数出ているのにこの違いは何か。つまるところ本人達が一緒に演ってみて案外に面白くなかったのだろうと想像する。仮面夫婦のような…

GARY BURTON / SEVEN SONGS FOR QUARTET AND CHAMBER ORCHESTRA

スティーヴ・スワローは常に良い音色を出して来た人だ。抽象的な意味ではなく耳に現実に聞こえてくる音色のこと。その特に良かった参加作をいくつか挙げよと言われたなら本作はその中に入る。いい音色にも色々ある。本作の頃(1973年録音)、エレキ・ベース…

PIETRO TONOLO / YOUR SONGS~THE MUSIC OF ELTON JOHN

サックス奏者ピエトロ・トノロのエルトン・ジョン曲集。ジャズ・フィールドの人達がポップスターの曲に手を出しても一部を除いてロクでもないものしか出来てないというのがこれまでの相場だったが、どうやら近年はそこから脱しつつある。本作しかりビル・フ…

DIANA KRALL / LOVE SCENES

ダイアナ・クラールの4作目。前作同様のギター入りドラムレス・トリオ。ギターはこのトリオでこの人抜きは考えられないラッセル・マローン。ベースはクリスチャン・マクブライドに変わった。1曲目イントロ、そのC・マクブライドがいきなり見せ場を作る。…

KEITH JARRETT / SHADES

言ってしまえば四分音符の連続を弾いているだけのことなのに個性が出るのがウォーキング・ベース。分析などするまでもなくベーシストによって一聴して皆違う。ぐいぐい引っ張る人もいれば弾むようにどんどん自分が前に行く人もいる。チャーリー・ヘイデンの…

KEITH JARRETT / STANDARDS, VOL 1

スタンダーズ・トリオのデビュー作。1983年録音。当時あのキース・ジャレットがスタンダード曲集を作った・・と大きな話題になったわけだが、近年ジャズ界からそんなデカいニュースが聞こえて来ない。もっとも、FMは聴かなくなった、雑誌は買わなくなった…

DIANA KRALL / ALL FOR YOU (A dedication to the Nat King Cole Trio)

ダイアナ・クラールの3作目。ジャケットがずいぶんと垢抜けた。良いことだ。1作目で標準仕様だったピアノ・トリオが本作ではナット・キング・コールを模したギター入りドラムレスになっている。ということでアルバム制作のために寄せられたメンバーかと思…

BILL EVANS TRIO / MOONBEAMS

ベースがスコット・ラファロからチャック・イスラエルズに変わっているが、誰であろうがこの時期のビル・エヴァンスの世界は実はそんな些細な事にイチイチ左右されていない。とはいうものの、この説で強気に押し切るにはC・イスラエルズにソロが回ったとき…

BILL EVANS TRIO / SUNDAY AT THE VILLAGE VANGUARD

リアルタイムの衝撃を受けたわけではないからスコット・ラファロが革命家だと言われてもピンと来ない。ポール・モチアンは後の個性をまだ発揮していない。従ってこの二人が顔を揃えたオリジナル・トリオといっても世評ほどありがたいものとも思っていないん…